社長(増田)がジャンルにとらわれず不定期に更新していきます

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社長先代との想い出を語る

2023年11月

最近当社の HP にインスタページを新設。その第一弾として「社⻑ 先代との想い出を語る」と題した記事が投稿されました。記事を見た知人から、独り言ページにも載せた 方が良いとのお薦めもあり載せることにしました。

《おやじ流の特訓》
 私が 24 才の頃です。入社してしばらくすると、おやじが「何やりたくない?」と聞いてきました。普通なら「何やりたい?」と聞きそうなものなのに・・。私は高校生の 頃から会社でバイトをしていて、仕事内容は良く知っていたので私の答えは明確でした。
「豆腐屋さん回りはやりたくないな!」と。当時弊社の主力製品は豆腐製造設備で、しょっちゅう豆腐屋さんの機械の修理や、時には真っ黑になって煙突工事までやっていま した。また、豆腐屋さん向けの機械は売値が安い上に、ぶっきらぼうで横柄な店主が多かったので、できれば行きたくないと思っていたからです。しかし、数日後おやじは私 にこう言いました。埼玉県豆腐組合員名簿を渡され、「まずは県南の豆腐屋さんを全て 回って、顧客リストを作成しなさい」と。
「俺は、これだけは絶対にやりたくないと答えたのに、何故おやじはそんなことを言う のだろう・・・県南の豆腐屋さんは、150 軒以上ある。あぁ〜、参ったな〜」 その日 から、私の豆腐屋さん回りが始まるのでした。

 豆腐屋さん回りを始めた私が、所沢のとある豆腐店 を訪ねた時の事です。「マスコー? 何しに来たんだ。忙しいから帰れ!」とニベもなく追い返されました。こんな店二度と行くものか!とおやじに言うと、間髪入れ ずに「もう一度行ってこい」という。なんでよ? と思ったが仕方なく再訪。
二回目は「また来たのか!忙しいんだから帰れ帰れ! 」 と、手に持ったホースを私に向け水を掛けられ追い返されました。
悔しいのと腹立たしさで「もう行かない、絶対行かな い! 」と言うと、おやじは「ほうそんなことがあったか。 もう一度行ってこい! 」とあっさり言いました。 「行ったけどダメだった」と嘘をつこうかとも考えましたが、それもしゃくに障るので、 仕方なく三度目の訪問をすると、「また来たのか!」と言われ身構えたが、ちょっと呆れた顔をしながら「調子のよくない機械があるが直せるか? 」と。帰れ帰れ! と追い返されるのを覚悟の訪問だったので、目を丸くし二の句が告げませんでした。修理した機械を見て「ほう、直せるのか!」に続き、「揚げカマドを買う予定があるから見積もり を持ってこい! 」と。「え? うそ! ホント? 」の展開。そして四度目の訪問で 30万円ほ どの機械を買ってくれたのです。

当時の 30 万円といえば今の 100 万円くらいでしょうか。これが営業マンとしての初受注となったことは言うまでもありません。あまりにも濃い体験だったので、その時の驚きや喜びは今も色あせることなく脳裏に染みついています。

初の訪問で、「おや、マスコーさんかい。珍しいね、ご苦労さん」と優しく接してくれたお客様は、ほとんど何も買っていただけなかった。 「一度や二度断られても、諦めなければ必ず道は開ける」、おやじは当時の私にこれを 教えたかったのだと思います。
   ―おわり―

 絵にかいたようなストーリーですが、これは実際に体験したことです。とかく1、2 度断られると「もうこのお客様は無理だ」とあきらめる営業マンがいますが、人はそう簡単に心を開くものではなく、人と人の繋がりを大切にする人ほど初めのガードは固い と言えます。いつの世にあっても、どれほど IT が進もうと、人の繋がり方の基本は変わらないと思っています。営業会議などでもこのような話をすることがありますが、どこまで理解してくれていることやら。(笑)